
ログハウス用の木材の物語1. 国内産 スギ
学名 Cryptomeria japonica (L. fil.) D. Don
英名Japanese Cedar 杉 すぎ 杉の語源は、幹がまっすぐに直立していることから「すぐ木(真っすぐな木)」といわれている。幹はまっすぐで円錘状のシルエットになるが、成長の衰えたものは先が円くなって卵形に近くなる。学名にヤポニカと付いていることから、日本の特産の木というのがわかる。 日本で最も高くなり樹齢も千年を超えるものあり、長寿の木。しかし、公害には弱く、都市部には残念ながら見るべき大きな木はあまりない。 昔から全国に群生していたようで、弥生時代には既に生活に必要な資材であったようだ。登呂遺跡から、住居、農具、土木資材などの木材が発見されている。約8haの水田の畦や水路には何万枚もの矢板で土留めされていた。 昔から盛んにその地方に合う杉を開発し植林がされてきた。そのため品種も多い。なかでも吉野・北山・日田・天竜・飫肥・魚梁瀬どの各地方は杉の産地として有名である。 日本を代表する木は杉、桧、桜などいろいろあるが、杉が一番ふさわしいのではないだろうか。量的に多いことと、木の性質がよいこと、そのためあらゆる用途に利用されてきた。西欧の「石の文化」に対して、「木の文化」といわれる日本の文化を支えてきた有用樹種である。日本森林面積は2515万ha、その中で1040万haが人工林、その中の58%が杉である。 材質は木理通直、特有の芳香をもっている。気乾比重は平均0.45で、日本産の針葉樹としてはやや軽軟といえる。心材の耐久性はやや高いが、辺材は低いので、この部分はエクステリアには使えない。加工は普通だが、家具、クラフトには柔らかいため不向きである。乾 燥は比較的容易である。 利用用途は他の木に比べると格段に多い。現在は建築材が一番多く、その他、樽や桶、下駄、割箸、土木用材、ウッドデッキ、枝葉は線香等。樹脂は薬用にも利用する。心材に含まれる精油は、木香(キガ)といい、防腐効果もあり日本酒に加える。そのため日本酒には酒樽が欠かせず、それで植林が始ったといわれる。 杉の樽や桶は同じようだが木の利用の仕方が異なり、木の性質をうまく利用している。酒・醤油の樽は赤身の板目だけを使い、お櫃(ひつ)や桶などは柾目を使う。これは板目が水を透さないのに対し、柾目は適度に水分を吸わせて外に出させるからである。鮨桶(すしおけ)やお櫃(ひつ)ではご飯の水分を適度に吸い取ることによって、しゃきっとして、べとつかない。 酒樽は育った土地によって異なる杉の性質を利用している。樽の胴体部分は吉野杉が最適で香りも高い。しかし吉野杉ばかりだと、香りが染みすぎて、1週間も経つとまずくなり飲めない。そのため蓋と底は香りの薄い九州地方の杉を使って、香りの期限を延ばしている。 日本人は太古から甕(かめ)を生活に利用してきたが、杉の樽や桶の技術が確立されてからは、日本独特商品となり産業界や風俗習慣に大きな革命をもたらした。江戸時代にはその成果が十分に発揮され、他の国々よりはるかに清潔でエコロジカルな国になった。 2.国内産 ヒノキ学名 Chamaecyparis obtusa 英名 Japanese cypress 桧、檜、ヒノキ 3.国内産 カラマツ マツ科カラマツ属 学名:Larix leptolepis(Sieb.etZucc.)Gordon 4. 海外産 ダクラスファーマツ科トガサワラ属 学名 Pseudotsuga menziesii 英名 Douglas-fir(ダグラス・ファー)、オレゴンパインともいう。 日本では通称として米松(べいまつ)、米マツと呼ばれる。一般にピーラーと呼ばれるのは米マツの中で目の細かいものを言うが、米マツを指す場合もある。 北米のカナダ、米国の西部で海抜600-2600mの間に分布するが約4割はオレゴン州に集中する。英国、オーストラリア、ニュージーランドのダグラスファーは米国・カナダから移植したものである。樹高は稀に100mにもなり、直径も4 mを超えるものがある。 日本では米国の松と思っている人が多い。ダグラスファーの名を知っている人は米国の樅というが、どちらも間違いである。 米松は日本にはない樹種で、近いものはトガサワラである。おそらく日本の松に似ていたのでつけたのだろうが、本来ならアメリカトガサワラと呼ぶべきだろう。 学名はPseudotsuga menziesiiで前者は「偽のヘムロック」の意で、後者は1791年にバンクバー探検隊と共に木を発見し、植林を手がけたメンジイエ氏からとっている。ヘムロックとは日本にも大量に輸入されている米ツガのことで、板になるとその違いは一目瞭然だが、丸太では米マツと米トガの区別がつかない。 北米の土着民族は土に掘った釜戸に、燃料として米松の枝を使っていた。他に魚釣りの針、リュウマチの治療、性病の薬、風邪薬、腹痛や頭痛などのために皮や葉を利用していた。樹脂は水がめの水漏れ防止用として使っていた。ニューメキシコの発掘現場からはこの木の祈り棒(プレイヤー・スチック)が出土した。 針葉樹材としては中庸の重さで、通直で多少脂っぽいが、乾燥は早く良好である。手、機械加工とも容易といえる。 針葉樹林を背景に走るカナダ太平洋鉄道の機関車を描いている。?鉄橋ではなく木橋である、ダグラスファーが用いられている。 18世紀に欧州に輸出されて以来、硬さ、耐久性が珍重され大きい木材がとれるため波止場の陸橋、橋の部材、商業用建物などの建設材として使用された。 日本には1853年にアメリカのペリー提督が数本の米松の角材を幕府に商業見本として献上したのが最初とされている。関東大震災後本格的に輸入が開始され年々拡大してきた。 近代では電話用の電柱や枕木、杭丸太として使われてきた。現在でも埠頭、港湾の工事に用いられ、集成材、フローリング、船、住宅用構造材、ウッドデッキなど、さまざまな用途に使われている。 また、構造用合板としては世界的に有名で、ツーバイフォー住宅の合板には米松合板が利用されている。 日本での用途はやはり住宅用であろう。都会の住宅の梁や桁はほとんどがこの米松を利用している。強度があり、長尺が取れるからである。 柾目が美しいので、内外部とも化粧的にも利用されている。 5. 海外産 レッドシダー学名 Thuja plicata 現在の北米ではログハウスのログ丸太、外壁材やエクステリア、造作建具、屋根板でよく使われている。日本では造作建具、集成材、天井板に用いられる。最近はウッドデッキに利用される木として有名になってきたが、間違った利用も多い。 6.海外産 スプルース学名 Picea sitchensis (シトカスプルースの場合の学名) 英名 Spruce (スプルース) 、米唐桧 (ベイトウヒ)、アラスカヒノキ スプルースは40種類以上もあるり、生息地はヨーロッパから、南シベリア、北米まで至る。樹高は60mにもなり、多くは日陰に生息し、樹自体もおのずから深い影を作りだす。 スプルースと言えば日本ではシトカスプルースを指すことが多い。シトカは北米の西海岸側の産地名である。西海岸の北米先住民は、柔軟な根と若い樹の小枝でバスケットや家庭用品を作っていた。現在では一般建築用、造作建具、合板、楽器材などに用いられている。無味無臭なので食品梱包用に適した木だ。木肌が白色で光沢をもつため、最も重要な新聞紙用パルプ原料でもある。しかし、やや桃色を帯び時間の経過とともにかなり濃色になるものもある。加工、仕上がりとも良く、乾燥も早く、強度的にも優れるが耐久性はやや低い。 音響特性にも優れ、ギターの表板など弦楽器のトップ材として定番となっている。 ピアノの音のよしあしは木の響板の材質で決まってしまうが、この木は楽器用材の中で一番比重が小さく、音響伝播速度が速い。そのためピアノ材としても最適で、高級ピアノに利用している。 節のないシトカ・スプルースは比重のわり強度が高いといった特長にも目をむけられ、グライダーの骨組み、ボートのオールやマストなどに使われる。つい最近までこの木は最も強度が高く、軽くて強い材料だった。有名なハワードヒューズが製作した世界最大の飛行機スプルース・グースは全幅98mもある木造の飛行艇で、その名のとおりスプルースを使っていた。オレゴン州ポートランドのエバグリーン社の航空博物館にいまも展示されている。また、ライト兄弟が人類初の動力飛行機に使った木はスプルースだった。 ホワイトスプルースも北米で原住民の生活に深くかかわった木であり、根が非常に柔軟なのでカヌーを縫い合わせるために使われていた。バスケット、雪靴などまでも根っこを使って縫っていた。また、民間医療としても利用されている。 ノルウエイ・スプルースは植林に広く使われていて、英国では1500年ごろから植林されている。スプルース+という名前の由来はこの木にあるとされ、英国にノルウェイスプルースが紹介されたときに、当時の産地のプロシア(Prussia)王国が“プルース”と呼ばれていたことに端を発するという。 日本では「クリスマスツリー=モミ」だと思っている人が多いが、ほとんどはノルウエイ・スプルースが使われている。ヨーロッパでもクリスマスツリーとして重宝されている。 7.海外産 欧州アカマツ学名:Pinus sylvestris |